キャロルと聖劇で綴るクリスマス物語
クリスマスページェント
★【クリスマスページェント2024】を12月31日(火)17時から動画配信いたします。ご覧になりたい方は下の画像をクリックしてください。
・日 時 2024年12月22日(日)15時開演
・場 所 横浜山手聖公会 主聖堂
・聖 書 遠藤 徹 日曜学校校長
・奏 楽 川名 圭子・出口 懐
・主 催 横浜山手聖公会 日曜学校
●会場配布用「クリスマスページェント2024」のしおり
展開した画像の二次元コードから場面ごとの画像と歌詞をご覧いただけます。【始まり】
一番初めのクリスマス。それは、うまやのなかでイエスが生まれた日。
今から2000年前のある夜、イエスは誕生しました。国を奪われた民族に解放をもたらすために神様がつかわされる圧倒的な救い主、「メシア」の到来を人びとは心から待ち望んでいたのです。深い闇に光と希望を与えてくれるこの救い主誕生のお祝いの列に、今日は私たちも加えていただくことにしましょう。
世界のほんの片隅で起こった小さな出来事は、こんな不思議な物語だったのです。
〇聖歌70番
「ダビデのむらざと」
1,ダビデのむらざと うまやのうちに
うまれしみどり子 やすらにねむる
み母はマリア み子はイェスきみ
2,あめよりこのよに み子はくだりぬ
父なるみかみの ひとり子なれど
まずしきものの うちにいたもう
3,やさしきまなざし そのみにうけて
おさな子み母を したいそだちぬ
あいのすがたを よよにしめせり
4,おさなきひびより よびととともに
かなしみよろこび わかちしみ子は
いまもわれらと ともにいたもう
☆「クリスマス物語」の始まりを飾るのは聖歌70番「ダビデのむらざと」(Once in royal David’s City)です。ダビデ(デイヴィット)は、旧約聖書に登場する神によって選ばれたイスラエルの偉大な王で、その出身地はベツレヘムでした。ユダヤの民衆が待望する救い主は、ダビデ王と同じ町ベツレヘムに出現すると言い伝えられていたのです。名もない夫婦の元にまもなく生まれ来る幼な子は、その英雄に連なる家系でもありました。
【待ち望む人々】
みかたちに似せて作られた、男アダムと女エバは神様の楽園で幸せに暮らしていました。神様は二人にすべてを認めましたが、ただ一つだけ、園の中央にある“善悪の知識の実だけは決して食べてはならない”と堅く命じていました。しかし蛇にそそのかされたエバが、エバに言われてアダムが、知識の実を口にしてしまいます。言いつけに背いたことを知った神様は、二人を楽園から追放しました。アダムとエバの子孫である人間は、その罪のため、永く大きな苦しみを受けることになりました。
でも神様は、いつか「救い主」を送る事も、私たちに約束してくださったのです。
〇聖歌64番
「ひさしくまちにし」
1,ひさしくまちにし 主よ とくきたりて
みたみのなわめを ときはなちたまえ
※主よ 主よ みたみをすくわせたまえや
2,あしたのほしなる 主よ とくきたりて
おぐらきこの世に み光をたまえ
3,のぞみのもとなる 主よ とくきたりて
あらそう みたみを ひとつにしたまえ
4,ダビデのすえなる 主よ とくきたりて
へいわのはなさく くにをたてたまえ
5,つきぬちからなる 主よ とくきたりて
かがやく みくらに とわにつきたまえ
※くりかえし
☆この聖歌「Veni, Veni, Emmanuel(インマヌエル)」は原曲が中世の聖歌であったため,旋律も和声も厳かな雰囲気を醸し出しています。インマヌエルは救い主(メシア)であるイエス・キリストの呼び名の一つです。
【ナザレの村で】
ナザレというユダヤの田舎町に、ひとりのおとめが住んでいました。おとめの名前はマリアといいます。マリアは大工ヨセフのいいなずけです。あるとき、天使ガブリエルがナザレにつかわされました。ガブリエルはマリアに言いました。
「おめでとう、マリア。あなたは女たちの中から選ばれました。神の子の母になるのです。あなたは男の子を産み、その子はイエスと呼ばれるでしょう。」マリアは言いました。「お言葉どおり、この身になりますように。」
天の使いはマリアから、離れて行きました。その後、マリアとヨセフは神様の言葉を信じて結婚し、ナザレでの新しい生活が始まりました。
〇聖歌66番
「みつかいきたり つげん」
1,みつかいきたりつげん
おそれをうちはらいて
「おめでとう まずしきマリア」
めぐまれし母 グロリア
2,「すべてのたみのほまれ
なんじ しゅくせられたもう
ちのみごの み名はインマヌエル」
めぐまれし母 グロリア
3,マリアはこうべをたれ
「みむねのままにわれに」
「わがこころあがめる み名を」
めぐまれし母 グロリア
4,インマヌエル よにきたる
マリアのいのりにより
よのたみ みわざをたたえよ
いときよき母 グロリア
☆聖歌の英題は「Gabriel’s Message(ガブリエルのメッセージ)」。大天使ガブリエルがマリアへ懐妊告知をする場面が歌われています。ガブリエルは神の言葉を伝える「メッセンジャー」とされています。この出来事の六ヶ月前に洗礼者ヨハネの誕生を父ザカリヤに伝えたのもガブリエルでした。
〇聖歌72番
「エッサイの根より」
1,エッサイの根より
生いいでたる
くすしき花は
咲き染めけり
わが主イェスの
生まれたまいし
このよき日よ
2,イザヤの告げし
救い主は
聖き母より
生まれましぬ
主の誓いの
今しも成れる
このよき日よ
3,たえにとうとき
イェスのみ名の
香りはとおく
世にあまねし
いざや ともに
喜び祝え
このよき日よ
☆この聖歌「エッサイの根より(Rosa Mystica)」はドイツ・ライン地方に伝わるクリスマス曲で、エッサイとはダビデ王の父親の名前です。生まれくるイエスがダビデ王の系譜を継ぐ者であること、ユダヤ民族は樹のように何度切り倒されても、その根から若枝が出て実を結ぶことを歌っています。
【ベツレヘムの宿屋】
子供がマリアのおなかにいるとき、ひとつの命令がくだされました。国中の人の数を数えるから、それぞれ生まれ故郷に帰れというのです。そこでヨセフとマリアは、連れだって、ナザレの町からベツレヘムに向かいました。ベツレヘムがヨセフの生まれた町だったからです。
ベツレヘムの町に着いて、マリアは子供の生まれるときが近いのを知りました。ところが町は人であふれ、宿屋にはあいた部屋がひとつもありませんでした。宿屋の主人は仕方なく、ヨセフとマリアを家畜小屋に案内をしました。二人が疲れた体を横たえた家畜小屋には一日のつらい仕事からようやく解放された動物たちが休んでいました。
その夜おそく、マリアは男の子を産みました。すやすやと眠る横顔を世界で一番初めに見た動物たちは、心から男の子の誕生をお祝いしました。粗末な飼い葉桶をゆりかごとして、誰もが待ち望んでいた救い主は誕生したのです。
〇聖歌85番
「ああベツレヘムよ」
1,ああベツレヘムよ などかひとり
ほしのみ において ふかくねむる
しらずやこよい くらきそらに
とこよのひかりの てりわたるを
2,ひとみなねむりて しらぬまにぞ
み子なるキリスト うまれたもう
よあけのほしよ うたいまつれ
「神には みさかえ 地にへいわ」と
3,しずかによつゆの くだるごとく
めぐみのたまもの よにのぞみぬ
つみ ふかきよに かかるめぐみ
あめよりきたるを たれかはしる
4,ああベツレヘムの きよき み子よ
いましもわれらに くだりたまえ
みつかいかたる よきおとずれ
ああイマヌエルよ きたりたまえ
☆「ああベツレヘムよ(O little town of Bethlehem)」の作詞は、米国ボストン生まれの牧師フィリップス・ブルックスで、彼がベツレヘムを訪れた体験を基に日曜学校の生徒のために書いたものと言われています。作曲はブルックスが牧師を務めたフィラデルフィアの聖トリニティ教会のオルガン奏者ルイス・レドナ。アメリカ生まれのキャロルの代表作として、夢見るようなロマンティックなメロディーは昔から多くの人たちに愛されています。一方、同じ詞に英国古謡「Forest Green」のメロディーを持つ同名の聖歌も良く知られ、英国ではこちらが主とされています。
【野原の羊飼い】
ベツレヘム近くの野原には、羊飼いがいました。夜のあいだ、羊の群れを見張る仕事をしていたのです。そこへ天の使いが現れて、神の光であたりが明るくなりました。羊飼いたちは怖くなってしまい、羊の群れと隠れて震えていました。すると天のつかいはこう言いました。「恐れることはありません。私はうれしい知らせを運んできたのです。今日ベツレヘムでひとりの子供が生まれました。その方こそが、あなたたちの救い主、キリストです。あなた方は、飼い葉桶の中に、布にくるまれた、幼な子を見るでしょう。それがしるしです。」
天のつかいが夜空におおぜい現れ、神を讃えて歌いました。「天の高いところでは、神に栄光がありますように。地上に平和が満ち、すべての人間に、幸せが与えられますように。」
羊飼いたちは、家畜小屋に急ぎました。マリアとヨセフ、それから飼い葉桶の中に幼な子を見つけた羊飼いたちはひざまずき、幼な子をあがめました。
○聖歌91番
「あらののはてに」
1,あらののはてに ゆうひはおちて
たえなるしらべ あめよりひびく
グロリア イン エクセルシス デオ
グロリア イン エクセルシス デオ
2,ひつじをまもる のべのまきびと
あめなるうたを よろこびききぬ
グロリア イン エクセルシス デオ
グロリア イン エクセルシス デオ
3,みうたをききし ひつじかいらは
まぶねにふせる み子をおがみぬ
グロリア イン エクセルシス デオ
グロリア イン エクセルシス デオ
4,きょうしもみ子は うまれたまいぬ
よろずのたみよ いさみてうたえ
グロリア イン エクセルシス デオ
グロリア イン エクセルシス デオ
☆誰もが口ずさめるこの聖歌はフランスの伝統的なキャロルが基になっています。荒れ野の羊飼いたちの前に突然現れた天使たちの、高らかに神を賛美する歌声が星空に響き渡りました。“Gloria, Hosanna in excelsis!”
【博士たちの発見】
東の国から、三人の博士もやってきました。空に明るい星が輝くのを見たからです。高価な贈り物を持って、海を渡り、山を越えて、ようやくエルサレムにつくと、行く手の空に星が輝いて、道しるべになりました。星たちは博士たちを、ベツレヘムの幼な子のいる家畜小屋まで導きました。三人の博士は、マリアに抱かれた幼な子を見て、取っておきの贈り物を並べ、ひざをおって幼な子をあがめました。その後三人の博士たちは、来た時とは別の道を通って自分の国に帰って行きました。
〇聖歌94番
「まきびとひつじを」
1,まきびとひつじを まもれるそのよい
たえなるみうたは あめよりひびきぬ
※よろこびたたえよ 主イェスはうまれぬ
2,あおげばみそらに きらめくあかぼし
よるひるさやかに かがやきわたれり
※くりかえし
3,そのほししるべに みたりのはかせら
メシアをたずねて はるばるたびしぬ
※くりかえし
4,くすしきひかりの みちびくまにまに
はかせはまぶねの 主イェスにまみえぬ
※くりかえし
☆英題は「The First Nowell」、Nowellとはクリスマスのことです。最初のクリスマスの出来事を、物語のように歌う英語原詞では、すべての文節で美しい韻が踏まれています。1節は荒れ野の羊飼いを、2節からは東方の博士たちのベツレヘムへの旅路を歌います。複雑でありながら美しく荘厳なオルガンの響きにも心をおとめください。
【神様からの贈りもの】
「ヘロデのところへ戻るな。」という夢のお告げにより、博士たちは再びエルサレムに立ち寄ることなく、別の道を通って、自分たちの国へ帰ってしまいました。「メシア」の居場所を尋ねた博士たちに、ヘロデ王は見つけたら自分に教えるように命じていたのです。ヘロデ王は非常に怒り、兵士たちにこう命じます。「ベツレヘムとその付近の地方の二歳以下の男の子を、ことごとく殺せ。」と。
「今すぐに脱出するように。」いち早く天使から告げらた父ヨセフは、産まれたばかりの息子と妻を連れて旅立ち、辛くも難を逃れました。その後ヨセフはマリアと幼な子イエスをナザレの家に連れて帰りました。幼な子はたくさんの愛を受けてたくましく育ちました。神様はいつもイエスを見守っていたのです。
〇聖歌82番
「みつかいのしゅなるおおきみ」
1,みつかいの 主なるおおきみ
世にあれませり わがともよ
うたいつつ ダビデのむらに
きたりておがめ キリストぞ
2,かみよりの かみなるみ子よ
おとめマリアを 母として
ひかりより いでしひかりを
きたりておがめ キリストぞ
3,「いとたかき あめなるかみに
みさかえあれ」と ほめたたえ
こえあげて みつかいうとう
きたりておがめ キリストぞ
4,うちつどい この日をいわえ
かみのみことば ひととなり
きょううまれ 世にあらわれぬ
きたりておがめ キリストぞ
☆この聖歌のラテン語詞は” Adeste Fideles “。欧州ではクリスマスの深夜ミサに向かう聖職者の行列で好んで歌われます。コロナ禍前の2019年まで、このページェントの始まりは、毎年この曲の荘厳なオルガンの音色に合わせて、子供たちが入堂行進をしていました。大きな声は少し辛抱いただきながら、今日はご一緒に心から喜び歌いたいと思います。『うちつどい この日をいわえ。』
〇退場曲
「羊飼いの聖家族への別れ」
〜オルガン奏楽のみ〜
☆最後を飾るのは「羊飼いの聖家族への別れ(The Shepherds’ Farewell)」。エクトル・ベルリオーズの作品であるこの曲、日本ではあまり知られていないものの、英国キングス・カレッジの「9つのレッスンとキャロルの祭典(Nine Lessons and Carols)」ではたびたび選ばれる、クリスマスには欠かせない曲の一つです。羊飼いたちが、聖家族の行く末の平安を祈りながら去っていく、そんな別れの情景を思い浮かべながら、退場する子供たちを優しくお見守りください。
☆「日曜学校クリスマス」に関するお問い合わせは
yamatess@gmail.com(日曜学校専用アドレス)まで